2010年3月5日金曜日

途上国以下の農業生産現場!?

先日、かねてから市にお願いしていた上田在住農業青年の集まりである『農業青年会議』に参加することが出来ました。今回は勉強会で、内容は①GAP(Good Agricultural Practice)の導入について、②農業経営管理についてです。特にGAPについては、就農以前から関心があり、おじちゃんも耳ダンボ状態で話を伺いました。

GAPとは、「農業生産工程管理」と訳されており、農水省のHPでは「農業生産現場において、食品の安全確保などへ向けた適切な農業生産を実施するための管理のポイントを整理し、それを実践・記録する取組」とされてます。おじちゃんの理解では、農業活動における行動規範標準、規格で、環境規格であるISO14000シリーズや製品品質規格のISO9000シリーズの農業版ですなぁ、日本の外ではもはや農業生産活動において必須の規格といえるかもしれません。

おじちゃんが、以前の在勤してたアフリカのケニアにおいても、旧宗主国である英国に輸出される農産物はすべて欧州版GAPに沿って生産され、頻繁に審査員がチェックに入っていたのを記憶しています。その英国のスーパーマーケットに行くとケニア産だけではない、ザンビア、ジンバブエなど数多くの国から輸入されている現状を目にすることが出来ました。これらの国々の生産費は大きな違いはなく、輸送費の違いが契約可否の基準になるほどの競争の中で、標準規格に沿った生産は必要最低限の条件であったんです。

一方、日本における農産物は、主として国内で消費される目的で生産されており、輸出を目的とした農産物はきわめて少ないんが現状です。これまでにも日本の農業現場では、残留農薬や登録外農薬等の農業を取り巻く問題が食品の安全を脅かしてきてました。事件があるたびに、消費者やマスコミから『安全な食品を!』と言われてきているものの、現場でどれほどの取り組みがなされてきているか、おじちゃんは疑問を多くもっています。例えば、結構農業生産者の多くは喫煙者なんですね。休憩のたびにタバコを吸われるわけですが、休憩終了後そのまま出荷調整をされるなんてことはざらです。えぇ、手を洗うなんてことはありません。そして作業する隣には、先ほど吸われたタバコの入った灰皿が・・・。

そもそもGAPは、欧州で発展したもんです。まぁ、容易に国境を越えて出入りする環境と旧植民地諸国から輸入してきており、安全な農産物の取引のためには統一した生産工程管理が必要であったんですね。今や欧州に農産物を出荷する生産者は、欧州版GAP認証を得ることは必須なんですね。実は、中国で生産される欧州向け農産物も認証を受けた生産者によるものなんです。日本向け農産物は、その点非常に楽。まぁ、極論登録農薬を適切に使用し、残留が基準以下であれば良いわけですから。

色々な点において、日本の農業は途上国並、ましてや生産現場は途上国以下なんが現状であるというても過言ではないかもしれません。ただ難儀なんは、認証取得に結構な経費がかかること。他にも「有機」認証というのがありますが、あれも結構経費がかかるんですね。経費かけてでも認証を取得した方が収益が上がればええんですが、現実はおじちゃんのような弱小生産者には厳しいようです。

とはいえ、認証を取ることは先にするとしても、規格に沿ったおじちゃん農場の標準作りは今年からでも着手し、安全な食品の提供を皆さんに行っていきたいと思います。

最後に余談ですが、ケニアにこられた日本の農業関係者の方が、日本において欧州版GAPをすべて理解している方はほとんどおらへんなぁと言ってはったのが印象的に記憶に残っています。ただし約10年前のことですが・・・
そして、今の日本におけるGAPは、行政(国・自治体)、JA、民間と乱立し、各々の目的が異なっているんですわ。そんなことやから欧州版GAPを語れる人が、今は日本にいたとしても意外とまだ多くはないでしょうねぇ。たぶん・・・

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